〜彩〜

◇Iam Chameleon Girl◇
   


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| 2014.09.20 Saturday | - | - |


秋の夜
寒いのは苦手だ。
淋しくて心細くなるのはもっと苦手だ。
長いことずーーーっとそう思ってきた。
でも。冷たい夜ほど、夜更かしてでも好きな作家の小説が読みたくなるのは、
なんだか気持ちがちぐはぐな気がする。

午前0時を過ぎた頃、深まりつつある暗闇の気配を感じつつ、
柔らかな間接照明を頼りに文章を追う。

半分だけ開けた窓から入ってくる冷気を、頬や鎖骨や足の指先で感じながら。
だけど、お風呂で温まった体から体温を逃がさないように、膝を抱えて丸くなりながら。

それでも冷たい夜は、乾いた布にみるみる水が浸み込むみたいに、
私の足の指と爪の隙間から浸透していき、
侵食されてゆく私の体は、私の意志を無視してたちまち夜と一体化する。
私のものでなくなった体。だけど、不思議と何かに属したような安堵の気分。

相反した感情の隙間に横たわる、切ないのにずぅーっと味わっていたい、秋の夜の神秘。
過去の記憶はゆっくりと風化し、夜の闇へと散る。

本を読むと、美しい言葉達が、頭の中で反芻し始める。
まるで、色づいた落ち葉が、風が吹いて何度も何度も空高く舞い上がるように。
カサカサと乾いた美しい音と、香ばしい秋の香りを振りまきながら。

日中と違いしっとりと湿った秋の夜は快い。
| 2008.11.07 Friday | 戯言。 | comments(2) |