先日、
「冬が好きだ」
と口にしたら、とうとう冬を好きになってしまった。
口に出す言葉というのは、思いのほか偉大な効果があるらしい。
それにしても、どうしてそんなことを口にしたのか。
ちょっと前に1杯だけ飲んだお酒が、あまりにも美味しかったから?
話がとても楽しかったから?
とてもステキな時間だったから?
私はその時、目の前のぼやけた光景に深く沈んでしまいたかった。と、思う。
今、この瞬間が『永遠』となりますように・・・
叶うか叶わないではなく、単純にその時湧いて出た望みを、呪文のように心で唱えながら私は目を閉じた。
瞼の裏側に縁取られる残像。
淋しさと悲しさ、本当の意味でのそれらは、きっと強く胸を抉るものなのだ。