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父がまた夢に出てきた。
なぜ彼は、夢の中とは言え、こんなにも私の前に姿を現すのか。
実家とは別の、見覚えのない開放的な空間で、
私たち家族は、落ちつかないまま食卓を囲む。
もう、2度とこのような瞬間が訪れないことを心のどこかで私は知っているのか、
胸のあたりに抱える鉛のような鈍い重さは、夢の中ですらあの頃と同じだ。
平静を装いつつも、一旦口を開けば、怒涛のように毒は撒き散らかれるだろうし、
だからこそあえて、腫れ物に触るようなことはしないけれど、
見えるものを見えないように知らんぷりすることは、
それを直視すること以上に難しい。
例えば毎日父のことを考えるけれど、
死んでからというもの、傷口は一向に癒える気配はない。
それどころか、日に日に膿んでいくようである。
いや、それでもいなくなって3ヶ月くらいは
「もう大丈夫」。
な、ような気がしていた。
しかし現実である虚無は、両手で救った砂が、
指と指の間から少しずつすり抜けるように、
少しずつ背後から襲ってくるのである。
「なぜ人に冷たいのか」
「どうして自分だけしか信じないのか」
顔を合わせる度に、ため息と共に母の口漏らされるセリフ。
「そんなの簡単だ。人のことなんか考える余裕なんてないからだ」。
なんていうことも、ばかばかしくて口にも出さない。
どうでもいいというのとはまた違うし、
母自身を面倒くさいと思っているかというとそれも違うし。
からだいっぱい、こころいっぱい
本当はたくさんたくさんいろいろ叫び出しいくせに、
一旦叫んでみたら、大したことのないことを叫んでいる自分に
気付きたくないのかもしれない。
結局のところ小さい、とても小さい自分を認めるのが怖いだけだ。
なにもかも上手く行かないことを父のせいにしようとして、
すべてをわかっているふりをして、
そして家族や友人を巻き込んで振り回している、
ちっさいちっさい自分になんか大キライだ。