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| 2014.09.20 Saturday | - | - |
広島へ行く際、お世話になる人にお土産をと思い、
駅で船橋屋の葛餅と、江戸っぽい雰囲気の
「線香花火」のイラストが描かれた便箋を買った。
広島から東京へ戻って数日後、その人から手紙が届いた。
手紙のイラストは、見覚えのある「線香花火」。
はちきれんばかりの封筒を開封すると、便箋が10枚も入っている。
読めば、私への手紙で便箋をすべて使ってしまったとのこと。
笑いが止まらなかったし、この人には適わないと思った。
ひとしきり笑ったあと、急に苦しくなって涙がこみあげてきた。
その日は久しぶりに駅の下のBARに行って
、一杯だけお酒を飲もうと思っていたけど、
気持ちを沈めるにはアイスコーヒーだと思い、喫茶店に変更。
ところが喫茶店に入ってカウンターの席につくと
隣の人も、そのまた隣の人もアイスコーヒーを飲んでいる。
同じものを頼むのはなんだか癪で「レモンスカッシュ」を注文した。
甘くて酸っぱい懐かしい味。薄く黄色みがかった透明の液体が、
ピシッピシッと、ほんのわずかに喉を刺激しながら胃の中に落ちていく。
そして、ゆわりゆわりと漂うグラスの中の気泡と
壁にかかった柱時計を交互に見つめながら、
電話をかけるタイミングを見計らう。
きっとまだ仕事中だから、23時45分くらいだったら大丈夫だろうか。
いつもみたく、また長電話になるだろう。
帰る際は母を起こさないよう、気を付けて玄関のドアを開けなくてはならない。
そんなことを考えながら、「レモンスカッシュ」をもう一杯注文。
時計の針は23時30分を指している。